こんにちは空き家の売却相談ナビです。今回は筆界未定地の不動産売却について詳しく解説していきたいと思います。

筆界未定地は巷(ちまた)では売却できないとされていますが、問題なく売却する事ができます。しかし、売却の難易度は高いので、初めての売却の場合、一括査定などを利用し、優秀な不動産会社に相談した方がいいでしょう。

なお、この記事は私の友人の不動産投資家の筆界未定地(一戸建て)購入経験や私が関わった筆界未定案件を元に作成しています。

筆界未定地とは

筆界未定地

筆界未定地(ひっかいみていち)とは「地籍調査」が行われた際に、境界(筆界)を確認できなかったため、筆界が未定のまま処理されてしまった土地のことです。

私が以前、関わった不動産売買で上記のように旧土地台帳附属地図上では筆界が特定されていたものの、地籍調査後の地図(地籍図)では画像のように筆界未定地になってしまった物件があります。

この不動産では境界争いなどはありませんでしたが、現地立会いに参加しない人がいたため筆界未定になってしまいました。

筆界未定になると下記のようなデメリットが生じ、筆界未定地を抵当に入れて融資を引き不動産を購入する方向けに物件を売却するのが困難となります。

筆界未定地のデメリット

  • 分筆・合筆ができない
  • 地積更正ができない
  • 地目変更ができない
  • 売買や抵当権の設定が難しくなる
筆界未定地の原因
  • 筆界について所有者間に紛争がある
  • 現地調査の際に土地所有者に立ち合ってもらえなかった

筆界未定の主な原因としては上記のような事柄があります。近年は紛争よりも所有者不明などで立会い出来なかった事案が多くなっており、一部で社会問題化しています。

筆界未定地を購入する人

筆界未定地の抵当権設定について2019年7月に確認した限りでは日本政策金融公庫でも抵当権設定は出来ないとの事だったので、日本にある殆どの銀行で筆界未定地に抵当権を設定し、融資を引くのは難しいでしょう。

そのため、筆界未定地の不動産(一戸建てやアパートなど)を購入する方は通常、リスクを許容し、借入を使わず不動産を購入できる不動産投資家の方が多くなっています。

事実、私の友人の不動産投資家も筆界未定の一戸建てを購入していますので、不動産会社に売却の仲介(媒介)を依頼する場合、投資家に向けた売却が得意な不動産会社に依頼する事をオススメします。

筆界未定地の価値の減価

筆界未定地の一戸建てやアパートなどの住宅を売却する場合、筆界未定地でない不動産に比べると売却価格は落ちてしまう事が一般的です。

不動産の売却相場は「土地の価値+建物の価値+リフォームの価値」で求める事が出来ますが、築後30年以上経過していて殆どリフォームを行なっていない空き家の場合、売却相場は「土地の価値」か「土地の価値−解体費」となる事が一般的です。

具体的な筆界未定地の売却相場

相続税路線価
(引用元:https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal)

最後に具体的な筆界未定地の売却相場を求めていきたいと思います。上記は「福井県福井市明里町」の相続税路線価です。40Eと書かれている路線に面した筆界未定の土地80㎡を売却する場合の相場は下記のように求める事ができます。

土地の価値の計算式
  • 相続税路線価=40×1,000=40,000円
  • 筆界未定地減価=-500,000円
  • 土地の相続税路線価=40,000円×80㎡=3,200,000円
  • 土地の市場価値概算=(3,200,000円÷0.8)-500,000円=3,500,000円

筆界未定地の減価(価値が落ちる金額)は計算が難しいですが、筆界特定のための費用は通常30万円〜70万円程度かかるため、間を取って50万円の減価としました。

500万円以下で取引されるような不動産の場合、元々の売買価格が安い事から実費程度(50万円程度)の減価になる事が多く、上記の計算式では相場から50万円を差し引き「土地の価値」を求めました。

一方、東京都や神奈川県、大阪府などのように土地値が高く、土地だけで2000万円を超えるような価格で取引される地域では融資を利用した購入が基本となるため、筆界未定地の減価幅は大きくなります。

宅建業者などから聞いた限りでは通常売買される価格(実勢価格)から20%〜40%値引きされたような金額(仮に実勢価格が2000万円の場合、400万円から800万円値引きされた金額)で売買が成立する事もあるようです。

そのため、このような地価が高い地域では土地家屋調査士に依頼し、可能な限り筆界を特定してから売却した方がいいでしょう(通常、不動産会社が紹介してくれます)。

筆界未定地の不動産売却まとめ

いかがだったでしょうか?今回紹介したように売却を検討している地域や地価によって不動産の売却戦略は異なります。

そのため、筆界未定など難易度の高い売却案件では専門知識の高い優秀な宅建業者に仲介(媒介)を依頼する事が重要となります。今回の記事が不動産売却手続きの参考になりましたら幸いです。