建物価格の査定

こんにちは空き家の売却相談ナビです。今回は「土地の査定方法はわかったから建物の査定方法を知りたい」「これからハウスメーカーで作った家を売る予定だけど建物の価値はどれくらいだろう?」といった方へ向けて建物の売出価格を決める評価・査定方法について詳しく解説していきたいと思います。

建物の価値とは

マンションや一戸建て、アパートなど殆どの不動産は土地+建物が一体となって売買されているため取引事例比較法収益還元法では本当の意味での建物の価値は判りません。

一般的に建物の価値は3種類(主観的価値、物理的価値、市場価値)があるとされており、最も重要なのが物理的価値と市場価値です。

主観的価値とはその名の通り、売主(所有者)が主観として思っている価値のことです。市場価値よりも高い事が多く、主観的価値を元に不動産の売出価格を決めてしまうと1年経っても問い合わせが1件もないなんて事になってしまいます。

そのため、不動産会社の査定では下記の物理的価値か市場価値を元に査定額を算出します。

建物の物理的価値(積算価格法)

建物の評価額

物理的価値とは建物が物理的に何年使用可能であるかを基準に評価する方法です。最も簡単な方法としては毎年役所から送られてくる納税通知書の固定資産税評価額を参考にする方法です。

画像は管理人が所有する不動産の納税通知書ですが赤枠の部分が建物の固定資産税評価額となります。一つは共同住宅で一つは居宅(一戸建て)となっており築35年程度の古い建物ですが100万円弱〜300万円強の評価額となっています。

一般的に築35年の建物の市場価値は0円か解体費分のマイナスである事を考えると市場価値と大きな乖離がある事が判ります。築年数が経っていない建物の場合でも5〜60%程度は乖離がありますので、この評価法は参考程度にとどめておいた方がいいでしょう。

再調達価格・耐用年数から求める方法

物理的価値を求めるもう一つの方法としては再調達価格と耐用年数から求める方法があります。

再調達価格は絶対的な基準はありませんが一般的に下記のような数値が使われます。耐用年数には税務署が公表している減価償却資産の耐用年数を使用する事が多いです。´

再調達価格
  • 鉄筋コンクリート(RC)・・・20万円/㎡
  • 重量鉄骨・・・・・・・・・・18万円/㎡
  • 木造・・・・・・・・・・・・15万円/㎡
  • 軽量鉄骨・・・・・・・・・・15万円/㎡
耐用年数
  • 鉄筋コンクリート(RC)・・・47年
  • 重量鉄骨・・・・・・・・・・34年
  • 木造・・・・・・・・・・・・22年
  • 軽量鉄骨・・・・・・・・・・19年

残化率(価値が残っている割合)は「(耐用年数—経過年数)÷耐用年数」となります。なお、耐用年数を超えた場合は、無価値(0円)として計算します。

これらの数字から具体的に建物積算価格(物理的価値)を求めてみると下記のようになります。

具体的な積算価格の計算

木造住宅の例

  • 構造:木造
  • 築年数:15年
  • 面積:100㎡

上記について具体的に計算すると「15万円×100㎡×(22-15)÷22=477.27万円」となり約477万円の価値が残っている事になります。

また、下記のように重量鉄骨で作られた家の場合、同一の経過年数だとしても積算価格は高くなります。

重量鉄骨住宅の例

  • 構造:重量鉄骨
  • 築年数:15年
  • 面積:100㎡

上記について具体的に計算すると「18万円×100㎡×(34-15)÷34=1005.88万円」となり約1006万円の価値が残っている事になります。

注意点

このように法定耐用年数が長い建物の場合、築年数が経っていたとしても価値が残っている事になります。

しかし、実際の市場価格は異なり、例えばRCの一戸建てで築40年経過している場合、プラスではなく解体費分のマイナスとなる事が一般的です。

オススメの利用方法

木造一戸建てや軽量鉄骨造の一戸建ての場合、市場価格に近い数値となるのでオススメです。

また、RCや重量鉄骨の場合でも法定耐用年数30年として計算を行うと市場価格に近い数値が出てきます。

建物の市場価値

建物の市場価値は「建物+土地の査定方法」でも掲載していますが実際の売買事例から調べるしかありません。概算の価格は下記のようになっていますが、取引される地域や建物の修繕状況によって異なります。

また、このデータは2018年時点のデータです。最近、作られている建物は長期的に利用できるように工夫されており、今後、建物価格は築40年や築50年だとしてもプラスを維持できる可能性が高いです。

築年数 建物価格
築10年 新築価格の50%程度
築15年 新築価格の30%程度
築20年 新築価格の10%程度
築25年 0万円程度
築30年 -100万円程度
築35年 -100万円程度
築40年 -100万円程度
築45年 -100万円程度
築年数 建物価格
築10年 新築価格の60%程度
築15年 新築価格の40%程度
築20年 新築価格の28%程度
築25年 新築価格の16%程度
築30年 新築価格の8%程度
築35年 0万円程度
築40年 -100万円程度
築45年 -100万円程度

仮に新築時の価格をハウスメーカー2500万円、建売2000万円と仮定すると下記のような推移で建物価値が下落していきます。

建物価格推移

建物の査定方法まとめ

いかがだったでしょうか?不動産会社に査定をしてもらった場合、上記のような方法を利用して建物価格を算出しますが、寒冷の地域では断熱性が高く床暖房が入った一戸建ては高く売れるなど、地域特性があります。

また、景気や法改正なども建物価格に大きな影響を与えますので、不動産売却時は最新の知識があって信頼できる業者に売却の相談をする事が重要です。